問題の場所にやってきました。
目の前に深い峡谷があり、向こう岸まで１００ｍほどあります。
谷の下を覗くと、谷底に川が流れています。
「すごく高いねー。見てると頭がクラクラしてくる」
と、ラディーが言いました。
「宝玉はあそこだよ」
カインは、谷の中腹あたりの壁面に生えた木を指差しました。
壁面に横に突き出した木の枝に、何か光るものが見えます。
それは谷のこちら側の壁にあり、上から３０mくらいの場所です。
「どこかに降りられるような所はない……よね」
「うん、ないよ。あったらとっくに取ってる。
一番の問題はあの川から毒気がでていることなんだ。あの木より上の方までね。
少し吸うぐらいならいいけど、下手すると死んじゃうよ」
「ふーん。じゃあどうするのよ？」
「大木にもらったこのロープを使うんだ。
これは森のガムの木の樹液でできていて、引っ張れば倍以上に伸びる。
このロープを両足にくくりつけて飛び下りればいいんだ」
「……で、落ちたところで取るわけ？ なんか手を滑れらせておっことしそう」
「でも、これならほとんど毒を吸わずにすむよ。じゃあ、頑張ってね」
といって、カインはロープをリミイに渡しました。
リミイは絶句してロープを見ています。
「あれ？ カインが降りるかと思っちゃった」
ラディーが無邪気に言いました。