カインはいそいでリンゴをたいらげると、木から飛び下りました。
プーカはその身軽さも猫並みです。
「どうしたの、ラディー」
カインが幼なじみの少女のききました。
「あのね……村に遊びにきてた小鳥さんに聞いたんだけど……」
プーカは妖精であり、不思議な力を持っています。
ただ、鳥と会話ができる芸当を持っているのはカインの知ってる限りでは、ラディーぐらいなものです。
もっとも、プーカ語を話せる鳥がいた場合はその限りではないですが……
ラディーが小鳥から聞いた話を要約するとこうなります。
このあたりは広大な森になっていて、森の中にプーカの村があります。
見慣れない種族の者が近づいてきて森に入り込もうとしているそうです。
もしかすると、今ごろはすでに入り込んでいるかもしれません。
さらに見知らぬ侵入者は弓矢で武装しているらしいです。
それが本当なら一大事です。
もうすぐ年に１度の村祭りがありますが、下手すると中止になるかもしれません。
「と、いうわけなんだけどどうしよう。村のみんなに伝えた方がいいかな？」
ラディーは心配そうな顔で言いました。