問題の場所にやってきました。

目の前に深い峡谷があり、向こう岸まで１００ｍほどあります。
谷の下を覗くと、谷底に川が流れています。

「すごく高いねー。見てると頭がクラクラしてくる」

と、ラディーが言いました。

「宝玉はあそこだよ」

カインは、谷の中腹あたりの壁面に生えた木を指差しました。
壁面に横にはえた木の枝に、何か光るものが見えます。
それは谷のこちら側の壁にあり、上から３０mくらいの場所です。

「どこかに降りられるような所はない……よね」

「うん、ないよ。あったらとっくに取ってる。
一番の問題はあの川から毒気がでていることなんだ。あの木より上の方までね。
少し吸うぐらいならいいけど、下手すると死んでしまう」

「ふう……でも行くしかないわね。魔法を使って何とかやってみるわ」

リミイは弓矢を地面に置き、崖を降りはじめた。

「リミイお姉ちゃん、がんばってね」

崖の上から宝玉まで三分の一の所で呪文をとなえる。

「風の精霊達……あたしを守って」

少しずつ慎重に降りていきます。
急ぎたいのはやまやまでしたが、魔法が切れたり足を踏み外したりすると全てが終わってしまいます。

なんとか木の所までたどり着き、宝玉を取りました。

その時、ピシリと音がして、枯れていた木が折れはじめました。

「あっ……ケホッ…コホコホ……し…しまった……」

意識の集中が解け、魔法が消えたようです。
リミイかなりの毒気を吸ってしまいました。

「こうなったら……えーい！」

リミイは最後の力を振り絞って崖の上に宝玉を投げました。

ゲームオーバー